第4回個展 -Rush Hour People-

ご挨拶

2019年6月23日-7月7日

汐花 SEKKA・BORDERLESS SPACE

目覚めたときには確かにあった夢の感触は

とうに消え失せた。
儚い星が空に残る頃、

淡い夢を見ていたはずなのに。
 
私は電車の車両に押し込まれて運ばれる

顔のない人間となる。
駅から駅へと運ばれて、

時間から時間へと飛び移る。
私は時間と敵対し、

回され続け、回り続ける歯車となる。
 
夢の手触りを求めたところで、
夢は現実から逃れるための

道具ではないのだ。

時は戦車の勢いで迫り、

歯車はすり減り続け、
馬車馬のように走り続けて、

いったいどこにたどり着けるのだろうか。
時間から時間に転がり落ち続けた

果ての荒野にも、
夜には星が瞬くのだろうか。
 
都会の夜空の星たちは、
そびえ立つ摩天楼に空を奪われて所在なく、
都会の夜空の星たちは、
街の光に飲み込まれて

消えてしまいそうなほど儚い。

我々が気にも留めず忘れてしまっても、
ビルに切り取られた小さな空に、

星はいつも瞬くのだ。
何も語らず、

ただ小さな光で私たちを励ましながら。
 
私は回り続け、

すり減り続ける歯車だ。
もちろん夜空の星にはなれないし、

画家ですらない。
星の瞬きには遠く及ばずとも、
せめて私は、

生き急ぐ僕たちに万感の思いを込めて

喝采を贈るのだ。